遊 | 2018.10.03
【イベントレポート】本屋さんで本好きが泊まるイベントに行ってきました!
「草叢BOOKS 各務原店」は2017年4月に各務原アピタ1Fにオープンした体験型書店です。その広さは岐阜県下最大級の992坪。蔵書は32万冊からなり、そのうち立ち読み自由の蔵書も29万冊と本好きには一日楽しむことができる、まさに体験型の書店なのです。またこちらの草叢BOOKSさんではほぼ毎週様々なワークショップが開催されていて、書物だけではなく地元に根ざした「岐阜の素敵なモノ」がたくさん売られています。
今回はこちらの草叢BOOKSさんで開催された書店宿泊イベント「朝マデBOOKS」に参加、取材してきました。
本屋さんに一泊「朝マデBOOKS」とは?そのきっかけは?
「本屋さんで一泊できたらどれだけ素敵だろうか?」。このイベントの開催のきっかけは、草叢BOOKSで働くスタッフの提案が最初でした。
東京・池袋にあるジュンク堂書店では定期的に宿泊イベントを開催、大変な好評を呼んでいて、毎回定員を遥かに超える応募がある人気企画。草叢BOOKSで働くスタッフのお一人は「とても池袋までは行けないし、もしかして当店でも同様のイベントを開催できるのでは?」とイベント企画の担当者に思い切って提案してみたのがきっかけです。
草叢BOOKS各務原店はショッピングモールの一角にあり、32万冊に及ぶ蔵書と「AKICHI」と呼ばれる読書スペースのあるユニークな店舗。また、併設されているスターバックスコーヒーで購入したコーヒーを飲みながら本を落ち着いて座って読むことができると評判で各務原市民だけでなく犬山など近隣の市町からも足繁く通うファンが多く、この日も閉店間際まで多くのお客さんが思いも思いの本を読んでいました。
新書や新刊の他にもバックナンバーの雑誌や中古のコミック、小説なども充実した品数を揃え、実際に手にとって内容に満足してから購入できる方式を取っており、さながら大きな図書館にいるような錯覚を覚えます。
今回のイベントのきっかけはスタッフの提案によるもの。ではその「朝マデBOOKS」はどのようなイベントだったのでしょうか?
本好きが集まると読むだけでは足らない何かがあります。
「本が好きな人が書店に集まると何が起こるのか?」筆者なりに大変興味深いイベントだったため、なんとかアピタ閉店前に会場入りし、撮影を開始。
参加者さんはAKICHIスペースに陣取ったり、閉店前のアピタで食料品を買い込んだりと準備に勤しんでいました。また、今回のイベントでは併設されているスターバックスコーヒーさんからホットコーヒーの差し入れがあり、ほかにもパンやプリンの差し入れがあったりと、和やかなムードでイベントを盛り上げていました。
アピタ閉店後、草叢BOOKS周りには境界線が設置され、いよいよイベントスタートです。アピタ閉店の音楽が鳴るとともに参加者さんは一斉にAKICHIに自分のスペースを確保。今回はAKICHI以外の店舗スペースにもテントやマットを敷いてもOKとのことだったため、中には本棚の間にマットを敷いて本に囲まれるようにスペースを確保する方、店舗の通路に自分のスペースを作り、ハンモックまで持ち込む方も居ました。
当日の参加人数は20名(募集人数20名)で参加受付からわずか数日で定員が埋まってしまったと担当者さんはおっしゃっていました。このようなイベントを心待ちにしていた方が大勢いたのです。
本好きが集まると、本の内容だけでなく、小説の単行本と文庫本の表装の違いの楽しみ方や、初版と重版の帯の違い、表装の違いなど、一冊の本の内容よりも本そのものを楽しみ方を提案されたり、熱く語られる方もいらっしゃいました。
ほかにも寝ながら読書するためのグッズやより快適な読書ライフを求める方、書店で泊まること自体を楽しむ方など、楽しみ方は千差万別。とても楽しい夜になったのではないでしょうか?
本好きが寝泊まりするなら…ブックホテルじゃなくて書店で!
ここ最近、各地でブックホテルやブックカフェが続々オープンし、名古屋市内にも今年の春先にブックホテルが一軒オープンしています。「読書」がエンターテイメント化しているのでは?と筆者は感じている次第で、一冊の本の内容の解釈をほかの誰かと比べてみるイベントや、特定の作家さんの解釈を共有し合う会などは昔から個人イベントとしてあったのですが、書店主導で本を題材に打ち出すイベントは少なかったように思えます。
しかし昨今では東京や大阪の都心部の書店ではこのような宿泊イベントを開催するのも珍しくなくなってきています。「読書」という文化を通じて人との交流を図るイベントにする、これは本を楽しむ新しい楽しみ方の一つとして定着してきたイベントで、その流れが全国的に広がってきた証拠なのではないでしょうか。
主催者様からは、都心では立地の条件から何十万冊と蔵書を揃えることが難しく、郊外型のショッピングモールの書店だから32万冊もの蔵書に囲まれて一泊できるイベントが開催できたとお話を伺っております。
この「郊外型モール」という立地が大量の蔵書を持てる書店を生み出し、新たなムーブメントとして書店イベントが開催される流れ、都市部ではなく地方だからこそできるのです。
本に囲まれて一泊できる、本屋さんを自分の部屋のよう一晩だけでも使える。このようなイベントは本好きにはたまらないですね。
広い店内だからできる体験型イベントは楽しい!
都心部の本屋さんに比べ、地方都市の郊外型ショッピングモールにおける書店の広さは広大かつ自由度が高く、蔵書も30万冊を超える本を揃えてあなたを待っています。
広い店内だから体験型のイベントが成立するのではなく、本を通して共通の体験を企画するクリエイティブな本屋さんがこれから必要なのではないかと、このイベントを通して感じました。
「本を買う」のは確かにあなた一人です、しかし大好きな本を誰かと共有する。この体験がこれからの本屋の使命なのではないでしょうか?
そこにはインターネットを含めたリアルな個人の交流があって、本という文化がこれから先ずっと必要であることの証明にもなるのです。
草叢BOOKSでは同様のイベントをこれからも企画していると聞きます。あなたもぜひ、書店で一晩明かしてみませんか?きっと読書以上の経験を得られますよ!
住所 | 各務原市 鵜沼各務原町8丁目7番地 アピタ各務原店1階 |
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営業時間 | 9:00~21:00 |
定休日 | 不定休 |
電話 | 058-379- 1711 |
URL | http://kusamura.life/ |
Writer
Takeshi Iwataこのライターの記事をもっと読む
ライター/地域コンサルタント/グロースハッカー/元大手自動車部品メーカー勤務の変わった経歴を持つライター。地域メディア「犬山さんぽ」の管理人、人と人をつなぐグロースハッカーとして犬山市を中心に活躍中。
Instagram: @inuyama.sannpo